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Q. 蓄光顔料はどういう仕組みで光るのですか?
一般に、外部から何らかのエネルギーを受けて発光する物質を蛍光体といいます。蓄光顔料(ちっこうがんりょう)はその中の一つです。蓄光顔料は、その結晶の中に電子を持っています。その電子は、蛍光灯や太陽光に含まれる紫外線等により興奮した状態(励起状態)となり、元の状態(基底状態)に戻るときにエネルギーを徐々に放出します。このエネルギーの放出が光として外部へ出ることで発光します。つまり、「光を蓄える」と書きますが、正確には光(主に紫外線)のエネルギーを蓄え、別の光(可視光)として放出しています。
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Q. どういうところで使われているのですか?
弊社では基本的に粉末(顔料)の形で製造販売しています。粉末なので塗料や樹脂などの様々な素材に混ぜられ、標識、各種部品、建材、玩具、雑貨、服飾など、安全に関わる分野だけではなく、デザイン性を重視したものも含めて、多種多様な用途で使われています。
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Q. 安全なのですか?放射線で光ると聞いた事があるのですが。
昔は蛍光体に微量の放射線源を添加して光らせていたものもありますが、それらに代わり開発されたのがN夜光です。放射線で光るものは“自発光蛍光体”と呼ばれ、暗闇の中でも光り続けますが、N夜光は蓄光顔料なので一定時間光に当てないと光りません (光に当てると繰り返し発光します) 。
※ 代表グレードの放射能の測定データについては以下のPDFよりご確認ください。
ネモトの蓄光顔料は、原材料を厳選し、平塚市の研究所で開発、自社工場で量産を行っております。製品の品質管理だけでなくRoHSやREACHなど各国の化学規制への対応も行っております。
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Q. 蛍光?蓄光?夜光?違いはあるのですか?
蛍光とは、一般的な蛍光灯に代表されるように、刺激を受けている間だけ発光します。
蓄光・夜光顔料は、正式には「長残光性蛍光体」または「燐光(りんこう)」などと呼ばれ、外部からの刺激がなくなってもしばらく光り続けるものを指しますが、大括りでは蛍光体の仲間です。夜(暗闇)に光って見えるので「夜光」とも呼ばれますが、実際には刺激を受けた直後から光り始めています。
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Q. 発光は、温度や外部からの刺激によって影響は受けますか?
はい、温度や外部からの物理的力(衝撃や圧力)によっても光り方(エネルギーの放出)が変わります。高い温度や力を加えると明るくなり、逆に温度が低くなると暗くなりますが、蓄えているエネルギー量は変わらないので、その分残光時間は長くなります。
しかし、零度付近で残光寿命はピークとなり、それ以下になると残光は短くなり-70℃付近でさらに急激に減少することが知られています。
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Q. 蓄光顔料は地面を掘って採取していると聞いた事があるのですが?
自然界でも燐光性や残光性を示す物質は存在しますが、蓄光顔料は鉱物ではなく、アルミナやレアアースなど数種類の物質を人工的に混合、焼成して化学合成した材料です。
原料の中には地中から掘って精製するものもありますが、地面から蓄光顔料が出て来る事はありません。
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Q. 最大どのくらい長く光るのですか?
蓄光顔料の種類、粒度(粒の大きさ)、充填量、加工方法、光の照射強度や時間、光源の種類など、様々な要素が絡むので一概には言えません。実際の採用例でも充填量として数十g/m2から数㎏/m2程度の幅がありますが、条件次第では粉末100%の状態より明るく長く光る事もあります。条件が良ければ人間の視認の限界と言われる0.32mcd/m2に達するまで24時間以上かかる事も十分あります。但し、見え方は街灯や月明かりなど周りの明るさにも影響をかなり受けます。
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Q. 蓄光はLEDやその他照明で同じように光るのですか?
蓄光顔料はじめ、多くの蛍光体は主に紫外線域のエネルギーを吸収します。
太陽光は様々な波長をまんべんなく含みますが、人工光源はその種類により含まれる波長が異なります。メーカー毎に仕様が異なるので一概には言えませんが、代表的な蛍光灯やLEDは数種の発光体を組み合わせて白色の光を作り出しています。これらの光源はその過程で紫外線も出しているので蓄光顔料は通常良く光ります。これに対し、白熱球などは電気エネルギーを熱変換経由で光放射をするので紫外線は出さず、蓄光顔料はほとんど光りません。
最近では「LEDでは蓄光顔料は光らない」と言われる事もありますが、LED照明は構造上、照射角が狭く光の直進性が強い為、その照射範囲から外れた対象物(蓄光)はエネルギーを受けにくい、との要因も考えられます。